じぶんという存在は特別ですばらしいと思っていた。
ある時からじぶんにはたいした価値がなく、
この世界では許可なく生きていてはいけないのだ、と強いる人たちがいることを知った。
そんなことはない、価値はなくたって生きてたっていいはずだ、と思っていた。
価値はなくとも、とユニークを装っても、
その服の下はおそらく凡庸そのものだった。
凡庸ではない、ほんとうに特別な何者かになりたかった。
そう願う姿はやはり凡庸だったろう。
自らを見つめようとする時、鏡に映ったじぶんを見ていた。
鏡に覆いをかけたまま見ているそのおかしさにきがつけないくらいには、
自らに呪いをかけてしまっていた。
長い時間が経って、
また自らを見つめようとする時、目を閉じてみた。
何度も何度も、じぶんの心の底へと潜ってみた。
きが遠くなるような回数を試みた結果、
これ以上奥に行けないところまで辿り着いた。
そこで見つけたものは、
世界から見たらなんてことはないものだったが、
この私にとっては誰が何と言おうと価値のあるものだった。
「宝物」は、じぶんの中にあった。
じぶんのしあわせを見つけ、それと共にある人はどれだけ外見を凡庸に見せようとしても
「内からにじみ出てくるもの」によって「個性的」になってしまうきがしている。
「個性を伸ばそう」と書かれた旗の下で平然と個性の蹂躙が行われ続けてきた国だ。
人と違うことをよしとしない国だ。
それでも、人それぞれの個性が消えて無くなるなどということはないと信じている。
皆が互いを許しあえるまでには時間がかかるってだけだ。